2009年01月02日

医療とは

先ほど読了しましたが、正月休みに是非お勧めしたい一冊。

高齢者医療難民 (PHP新書)
高齢者医療難民 (PHP新書)吉岡 充 村上 正泰

おすすめ平均
stars高齢者医療問題に一石を投じる良書

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この本のサブタイトルにも挙げられている療養病床再編、あるいは後期高齢者制度、また特定健診制度の政策決定のプロセスを見ていると、ほんとうにこの国は、民主主義国家なのかと問いたくなる。


いや、それ以前にそもそも政策決定がこんなに適当でよいのか?


病院に勤めていると、月に2つか3つは様々な団体からアンケート調査が届くんですが、回答が非常に面倒(全く現場を理解していない問いかけ)で、かつ提出が任意なものはさておき、医師会、あるいは厚労省絡みのものはやはり答えておかなければならない。


療養病床削減に使われたアンケート結果もまた、これらアンケート調査の一つでしたが、本来の設問をすり替えて、曲解した結果を元に療養病床の大規模削減が決定した経緯は、(医療関係者ならおよそは知っていたこととはいえ)、実際の当時の担当者が語れば、その内容はまさに絶句ものだ。


いい加減すぎてうまい言葉が見つからないのですが、命を扱うにはしかしあまりに適当すぎる。


話は戻って、出だしの3つのキーワードに共通するのは、社会保障費圧縮という命題にかかる”設計主義”にほかならず、本来自己管理すべき健康ですら、義務的に”予防”しなければならない特定健診制度に至っては、さながらファシズムの様を呈している。
この国には病気になる自由も無い。
(病気になって医療費がかさんで困るのは保険者を社会保障財源に持つ国だから。)

太った人は成人病のリスクが高いので、組合をもつような大企業は(国からのペナルティを避け)保険料を抑える為、今後雇用を控えるかもしれない。


雇用条件:腹囲80cm未満。


医療の現場はよく言われる救急や小児、産科に限らず、実際どこもかなり限界に近いのですが、医療費抑制を目指さんが為に制度をいじくり倒した結果、以下のようないびつな状態が様々に表出してしまって、まさに収拾がつかない印象です。
(以下、私の実感)

・医師不足(研修医のスーパーローテーション制度導入。勤務医師のサラリーマン化。地域的計画性の無い自由開業。)
・看護師不足(なんちゃって一般病棟の無駄な7対1看護導入)
・薬剤師不足(6年制の開始)
・介護職の低水準賃金、高離職率
・在宅医療のマンパワー不足(かかりつけ医制度の失敗)
・少子化、核家族化による地域連携の消滅

かくして、帰るべき場所もないまま高齢者は病院を追いやられ、”在宅”において、国のねらい通り、無駄な医療費を使わずにただ死にゆく運命にある。

誰の為の財政再建なのだ、一体これは。

posted by Maron at 01:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 業務系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月23日

療養病棟入院基本料2の矛盾

はい、というわけで、病院・診療所で療養病床があるトコロに勤めている皆様だけに分かる話です。

療養病棟入院基本料2を算定する患者は、同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟、又は別の保険医療機関の一般病棟へ転院する前日を1日目として、3日間を任意で出来高算定することが出来ます。

3日間全部を出来高で請求してもよいし1日だけでもよい、つまり、その時点での医療区分を上回るコストが1日でも出れば、通常は出来高請求することになります。

この場合、入院料はE(764点)に落ちる訳ですが、Eは即ち医療区分1なので、生活療養費の自己負担対象になってしまうんですよね。

これっておかしくないですか?

そもそも生活療養費の免除対象は「入院医療の必要性の高い患者」であるはずで、医療区分では2・3(入院料A・B・C)とされていますが、出来高で入院料Eを取ったとしても、それは「入院医療の必要性の高い患者」に違いはないわけです。しかし、免除対象ではない。

社会的入院でもなんでもないのに、実費を請求されてしまうというバカバカしいお話です。厚生労働省は今回のこの何の根拠もない幼稚なマークシート制度を稼動させること以外、本当に何にも考えていません。

役所といえば、某県の社会保険事務局の事務員の対応もひどいもんです。
乱暴な言葉遣いと横柄な態度には、毎度のコトながらイライラさせられます。

こっちは職員何百人、その扶養者も入れたら何千人かの生活を背中にしょって、届出を上げに行っているので、キレでもしたら、私1人の首では済まないですからね。
でも、ほんと、何処とは書けないけど、ひどいですから。機会があれば一度どうぞ。

あ、保険年金課は優しいと思いますよ、時節柄。
保険課行ってみて下さい。
posted by Maron at 20:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 業務系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月04日

厚生労働省がダメなところは

7月の療養病床改定に関して、厚生労働省がダメなところ。

平成15年3月28日に、「慢性期入院医療については病態、日常生活動作能力(ADL)、看護の必要度等に応じた包括評価を進めるとともに、介護保険との役割分担の明確化を図る。」と、「基本方針」で閣議決定したんだからね、3年以上前から準備してたんだからね、知ってるでしょ? といいながら・・・

7月をとっくに過ぎても、医療区分評価の手引きのエビデンスも具体例も疑義解釈も何にも明かされないままな所。

なんで血糖を1日3回測定すればその日から3日間は医療区分2なのか? 「3回」に何の意味があるのか?

報酬を下げるんなら下げるで、根拠のある下げ方をして欲しかったですね。

評価票って、機械の整備点検表じゃないんだからさ、あんなもん貰ったら患者も傷つくよね。

「悪性腫瘍の疼痛コントロール」って、本人が告知を受けていなかったらどうすんかね。「療養上著しく不適切なことが生じないように配慮すること」って、いやもう、厚生労働省様のお陰で生じてますから。
posted by Maron at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 業務系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月30日

厚生労働省告示第四百号

予告どおり、本日6/30の官報号外第152号で療養病棟入院基本料2の施設基準が告示されました。

内容的には6/16に出た資料通りなんでしょうね。
別に見比べてないけど。

これは個人的な謎ですが・・・

・療養 → 一般に急性増悪で転棟・退院する際、その前日を1日目として3日間を出来高で取ってもよい。しかし入院料はEだよ、ってのがあります。

一般に転棟する場合、転棟当日は一般の入院料を取ればよいのですが、退院する場合、退院当日の入院料は何で取るんだろ? 元の医療区分でいいの?
でも治療内容的には病院を移る位だから、コスト的にピークじゃないの?

大体、退院する前に行き先の医療機関の病床種別を確認するって、そもそもどうなの?
退院先が一般じゃなかったら、どうしようとか。
posted by Maron at 21:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 業務系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月18日

だからね、療養病床ってのはね

今日は某所にて療養病床の7月改定に関する研修会に参加。日曜日というのに数百人が参加してました。
悪い夢なら覚めてくれ・・・というこの状況でも、しかし人間ってのはエライもんで、笑えるのですねえ。医療関係者以外の人がもし混じっていたら、かなり引く内容だったのでしょうが、超ブラックなユーモアにもう笑うしかない。

まあ、最初の3ヶ月はお試し期間ってとこでしょうね。
告示も通知も無いままにまもなく7月1日で、ほんとこんなの出来るわけない。あんまり詰め込んで、なんでも間に合わせようとするのは、止めた方がいいですよ。

で、6/16(金)に「基本診療料の施設基準等(平成18年厚生労働省告示第93号)」等の一部改正(案)について、っちゅーのが出たのですね。
これまでずっと4/13の説明会資料しかなかったので、久しぶりに新しい動きであります。
これは厚労省のページからダウンロードできるらしいのです。が・・・ 探せません。どこよ?

ということで全日病のホームページからダウンロード
厚労省のページを探せた方、リンク先を教えて下さい。

今回分かったことは

・医療区分2・3の患者が8割を超える場合は、月平均夜勤時間が72時間を超えてもよいこと
・尿路感染症は連続7日→14日に延びたこと
・7日など、日数上限の有る項目の再発時は同月でも再度、連続7日取っても良いことが明記されたこと
・別紙1(マークシートみたいなやつ)の様式が少し変わった(せっかく作ったのにバカ野郎!)

てところでしょうか。

帰りに中古レコ屋がセールしてたので、90年代の「とれま」関係など4枚購入。トレゾアの30番(Surgeon「First」)も200円でGET。
暑いぜ。
posted by Maron at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 業務系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月28日

病院って何をするところですか?

さて、GWも目前ということで、仕事絡みの話でも書きましょうか。

平成18年度診療報酬改定の目玉とも言うべき、慢性期入院医療に係る包括評価について、本日4/28、各医療区分に属する各疾患・医療処置内容が正式に決定しました。内容的には4/13に行われた各地区局長、局次長に対する「療養病床に関する説明会」資料のままということのようです。7月までに議論として残るのは各疾患や処置の標準評価方法というところでしょう。
Matrix.bmp

慢性期医療の見直しとは、基本的には現在24万床ともいわれる療養病床を2012年度には15万床にまで減らす、つまりは医療を受ける必要性の低い患者を介護保険施設へと誘導し、老人性廃用などの疾患を主として受け入れるこれら療養病院を、上記施設へ転換させようというものです。

上記の「医療必要性の低い患者さん」、(これを国は「医療区分1」患者といいます)がハナシの最初から、全体の50%を切らないように設定されたカラクリはさておき、厚生労働省による今回の誘導策は、医療行為の本質である「患者のQOL(Quailty Of Life)を高める視点」を完全に失っている点で、失敗しています。

一例を挙げましょう。

褥瘡(いわゆる「床ずれ」ですね)が、ある「一定レベル=皮膚層の部分的喪失以上」の深さに達する患者さんは「医療区分2」に該当し、病院はなんとかほぼ従来並みの報酬を得ることが可能ですが、もし治療に熱心な病院であれば当然これを「治すこと」に専念するでしょう。それが医師や看護スタッフに課せられた使命だからです。
患者や家族だって、ほったらかしにされ褥瘡を悪化させられる病院には、入院したくもさせたくもありません。

しかしもし治れば、あるいは、軽度にまで回復すればどうなるのか?
当然、治癒に対しては何の報酬もありません。
それどころか、この患者さんは「医療区分2」から「医療区分1」にシフトする為、病院は約40%マイナス、1日7,640円しか診療報酬を受け取ることしか出来なくなります。(ADL区分1の場合)
治せば赤字ですから、今後「治さない」病院が出てこないとも限りません。
色々なカテーテル=チューブ類や、点滴にしても同じです。
抜去すれば(QOLを向上させれば)病院は赤字です。

意欲的な病院ほど、収益は下がり、結果、医師・看護スタッフを充足出来ず、設備投資も叶わなくなり、職員のモチベーションは下がります。
一言で言えば「治療する」意味が、H18年7月1日を境に、もはや保障されない時代になるということです。

多くの企業がそうであるように病院もまた、(「医療」が本質的に持つその公共性に照らしてみても)決して利益を上げる為だけに存在しているのではありません。しかしながら、安全で良質の医療サービスを提供する為には安定した収入が不可欠であることは言うまでもありません。

というところで続きはまた。
posted by Maron at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 業務系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする